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ガルバリウム鋼板で外壁リフォームを検討したい方へ、 メリットから注意点まで一挙紹介!
近頃屋根や外壁のリフォームの際に「ガルバリウム鋼板にしたい」という方が増加しております。確かに従来の金属素材よりも錆びにくく軽量、そして高耐久な為おすすめしたい建材です。しかしそもそもガルバリウム鋼板がどのような素材であるのかご存じでしょうか?また何事にもメリットがある一方デメリットも存在します。ガルバリウム鋼板で外壁リフォームを行うにはどのようなことに気を付ければ良いのか、このページではガルバリウム鋼板と外壁のメンテナンス方法について一挙ご紹介させていただきます。
窯業系サイディングから金属系サイディングへ
皆さんが住んでいるお住まいの外壁材は何でしょうか?おそらく非常に多いのがサイディングと呼ばれる外壁材です。樹脂系や木質系など素材はいくつかありますが、中でも最も多く使用されているのはセメント質を主な材料としている「窯業系サイディング」です。現場で塗らなければならないモルタルよりも作業性に優れデザイン・カラーも豊富なので同じ窯業系サイディングを使用しているとは思えないほどお洒落な住宅が建ち並んでいます。
しかしここ最近、窯業系サイディングから金属系サイディングにシフトしている傾向があります。窯業系サイディングはセメントのため表面塗膜が劣化することで吸水し強度が低下してしまいます。またボードの継ぎ目に発生する目地シーリング材が傷むことで雨漏りのリスクも高まります。
その点、金属系サイディングは窯業系サイディングのデメリットをカバーできている外壁材として注目されており、金属系サイディングに使用されているのがガルバリウム鋼板と呼ばれる金属素材になります。
ガルバリウム(GL)鋼板とはどんな素材?
屋根材としても外壁材としても注目を集めているガルバリウム鋼板ですが、決して真新しい素材というわけでもありません。
そもそも馴染みのあるトタンもガルバリウム鋼板のベースは同じ鉄をベースにした合金です。その合金に亜鉛だけでメッキしたのがトタン、ガルバリウム鋼板は合金にアルミニウム(55%)、亜鉛(43.4%)、シリコン(1.6%)の質量比のメッキを施した素材なのです。
亜鉛100%のトタンとガルバリウム鋼板を較べると、実はトタンの方が犠牲防食性能(亜鉛が優先的に腐食することで合金の腐食を遅らせること)に優れています。
トタンの犠牲防食性能
対してガルバリウム鋼板は亜鉛の割合が低いため犠牲防食性能は劣りますが、アルミニウムが金属の腐食に抵抗する酸化被膜(不動態被膜)と亜鉛の犠牲防食性能により、トタンよりも高い防食性を誇ります。
ガルバリウム鋼板の犠牲防食性能と酸化被膜(不動態被膜)
では長い研究の上近年発表されたのかというとそうでもありません。実は1972年にアメリカで開発され1982年には商品化、2009年に阪神甲子園球場の銀傘を架け替えた際に使用されたのがガルバリウム鋼板です。ガルバリウム鋼板を知らなかったという方も、実は何度かは目にしたことがあるかもしれませんね。
屋根や外壁のリフォーム・メンテナンスにおすすめしているガルバリウム鋼板ですが、まずはメリットとデメリットをご紹介いたします。「メンテナンスが簡単!」と思う一方、中には「我が家には向いていないかも」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、ガルバリウム鋼板を選択する前にしっかり確認してくださいね。
板厚が2~3㎜程ある外壁材ですがガルバリウム鋼板自体の厚みは1㎜もなく、その重さは窯業系サイディングのおよそ1/3です。
地震発生時、重たい建物は大きく揺れますが軽い建物は揺れによる影響を最小限にとどめる、つまり倒壊・破損しにくくすることができます。耐震性を向上させる方法として「屋根の軽量化」は進んでいますが外壁も同様に軽量化が徐々に進んでいます。外壁カバー工法にも適した素材と言えますね。
金属系素材というと「錆び」が劣化の主な原因です。しかしガルバリウム鋼板は前述した通り高い防食性により非常に錆びにくく、トタンの数倍以上も錆びにくいといわれています。トタンの寿命が10~20年に対し、ガルバリウム鋼板は20~30年以上の耐用年数が期待できます。
セメント質の窯業系サイディングは塗膜の劣化により吸水してしまいます。寒冷地では特に多くみられますが、外壁材が含んだ水分は凍結と融解を繰り返すことで外壁材が内部から割れるなどの「凍害」を起こす可能性が高くなります。対してガルバリウム鋼板は吸水しにくく凍害を起こす心配がありません。
近年ガルバリウム鋼板が注目を浴び始めた傾向としてバリエーションが豊富になったことも大きな一因です。金属素材は錆びの原因となる【傷】をつけないように加工することが難しくシンプルなデザインが多かったのですが、各社メーカー技術の進歩によりモダンやスタイリッシュなデザインが揃っています。今まで「我が家は和風だから」と敬遠していた方もいらっしゃると思いますが、モダンテイストを選択肢に入れてみるのも一つの手ではないでしょうか?
またガルバリウム鋼板で外壁リフォームを行ったお住まいでよくみられるのが黒や紺の濃色です。重厚感・高級感がより一層際立ちますので配色を考えるのも楽しそうですね。
ガルバリウム鋼板は錆びにくい素材ですが、全く錆びないというわけではありません。特に施工中や台風等で出来た小傷が錆びを発生させる恐れがあります。また排気ガスや鉄粉が原因で錆びてしまう可能性も十分にあります。
高耐久なガルバリウム鋼板といえど定期点検・水洗い・傷の補修、塗装メンテナンスを頭に入れておく必要があります。
沿岸部のお住まいは特に注意!
錆びにくいガルバリウム鋼板にも塩害は要注意です。ガルバリウム鋼板を開発したメーカーの実験によれば、田園地帯・工業都市で25年以上の耐用年数に対し、塩害地域で約15年と差が開いた結果になったようです。
もちろん技術は進歩しており、IG工業のガルスパン等の製品は海岸線より5㎞以遠の地域に製品の保証がされますが、環境条件により保証の対象外とされることもあります。ガルバリウム鋼板で施工される際には保証が十分なのか、定期的なメンテナンスが行えるのかを踏まえご検討ください。
ガルバリウム鋼板を施工する際、断熱性を高めるために隙間なく施工していきます。すると気密性が高まる一方、室内の湿気が温まり上昇したうえで小屋裏に結露を発生させ屋根下地を腐食させる恐れがあります。このようなことが起きないよう断熱方法の見直しや棟換気の設置をあわせて検討していきましょう。
ガルバリウム鋼板を施工するにあたり不安視されているのが遮音性・断熱性です。ガルバリウム鋼板自体は非常に薄く遮音性・断熱性が期待できないため、多くのメーカーは断熱材と一体になったガルバリウム鋼板を販売していますので問題は生じないとは思います。
それでも「音が伝わりやすくなった」「暑い・寒い」と感じる場合は断熱材の入れ替えや遮音性の高いボードへの変更など、屋内でのリフォームが必要になるケースがあります。
「SF-ガルステージシャインJ」の値は、JIS A 1420の実測値で、その他の値は熱伝導率から算出した値です。
※IG工業株式会社シンプルモダンシリーズカタログより引用
元より断熱性・遮音性を気にされるようであればガルバリウム鋼板での張り替え工事ではなく外壁カバー工事を選択しましょう。
外壁リフォームにガルバリウム鋼板を使用する場合、外壁張替工事か外壁カバー工事になります。
外壁張替工事は既存の外壁材を剥がしガルバリウム鋼板で張り替えていく工事です。既存の外壁材が著しく劣化し剥離・剥落が起こっている、雨漏りによる腐食がみられるような場合は外壁張替工事がおすすめです。
外壁張替工事の場合、既存外壁材を撤去しますので住宅全体の軽量化が図れるだけでなく、透湿防水シートなどの下地を確認し必要に応じた補修を行うこともできます。ただし部分的な張替は行えず、撤去・処分費用も含め施工費用は高くなります。
張替工事よりも多く施工されているのが外壁カバー工事です。既存外壁材を残したままガルバリウム鋼板を施工するため、ガルバリウム鋼板で不安視されている遮音性・断熱性を一層向上させることができます。
また撤去・処分費も発生しないため費用も比較的安く、施工日数も短縮させることができます。元来非常に軽いガルバリウム鋼板ですので、外壁カバー工事を行っても住宅の重量が格段に上がるわけではなく、現在の耐震性を保持することができるでしょう。
注意点として既存外壁材がトタン等の金属系の場合は経年劣化で錆びている可能性があります。そこに接するように施工を行うと【もらい錆】と呼ばれる錆の拡大が起こります。
せっかく新たなガルバリウム鋼板を施工しても錆びが移り腐食してしまえば意味がありません。錆が発生する素材が施工近くにある場合は撤去するか錆止め等の処理を行いましょう。
施工事例:ガルバリウム鋼板での外壁カバー工事
お問い合わせのきっかけ
屋根が傷んでおりリフォームを検討しているとのことでしたが、外壁の経年劣化と雨漏りに関してお悩みを抱えていらっしゃいました。経年劣化により全体的なメンテナンスが必要だと検討されていたようですので屋根カバー工法に合わせガルバリウム鋼板での外壁カバー工事を実施しました。
点検の様子
モルタル外壁は以前にも塗り替えを行われたようですが、その際形成した塗膜に膨れがいくつか生じていました。綺麗にメンテナンスをされていても屋根材・外壁材は傷み続け、いずれは塗装ではカバーしきれないほど劣化してしまいます。
今回は屋根カバー工法だけでなく、ガルバリウム鋼板での外壁カバー工事もご提案させていただきました。
施工の様子
全体的な外壁メンテナンスをされる場合は足場仮設が必須になります。また部分的な塗装も行いますので、飛散防止用メッシュシートも設置しています。
ガルバリウム鋼板での外壁カバー工事を行う際は既存外壁に直接施工するため、竪樋はすべて取り外す必要があります。
外壁カバーというとガルバリウム鋼板をそのまま張り付けるように感じますが、胴縁と呼ばれる木材を下地に通気層を確保していきます。こうすることで空気を内部が通り結露による腐食を防ぐ効果があります。
今回使用したのはニチハのセンターサイディング、縦張り・横張りのどちらも可能な
「レフィーナウォール」です。
0.27㎜厚のガルバリウム鋼板と断熱材が一体になった石積み柄のガルバリウム鋼板は、艶消しの質感が上品な外観に仕上げてくれます。
まずはサッシ周りに水切り板金を取り付けます。その後胴縁に合わせ下からガルバリウム鋼板をかみ合わせるように張り付けていきます。
窯業系サイディングと同じようにガルバリウム鋼板同士の間に継ぎ目は発生しますが、同質のキャップを取り付けることで継ぎ目が目立たないきれいな外壁に仕上がります。
ガルバリウム鋼板はカットも可能な為、住宅の複雑な形状にも柔軟に対応することができます。もちろんカラーの変更、別柄との組み合わせで様々な表情を見せてくれます。
今後のメンテナンス方法としては数年ごとの点検と水洗い、ガルバリウム鋼板は耐久性に優れていますが小傷による錆びも考慮し、15~20年で塗り替えを検討していきましょう。
もちろん台風等の自然災害でガルバリウム鋼板が凹んだ、傷がついてしまった場合は適宜簡易補修を心がけましょう。
ガルバリウム鋼板での外壁工事は近年注目を浴び始めたメンテナンス方法のため、塗装工事よりも多い実績があるわけではありません。そのため、正しい外壁カバー工事の方法がわからず結果雨漏りを起こしてしまった、材料を適当に扱ってしまい錆が発生してしまったという事例も中にはあるでしょう。
耐久性に優れたガルバリウム鋼板も誤った施工方法を行えば雨漏りを起こすリスクもありますし、錆が発生し張替を余儀なくされるケースもあります。
皆さんが外壁工事を依頼される際に気を付けるべきはどれほどガルバリウム鋼板での外壁工事に詳しいのか、実績があるのか、また今後のメンテナンス方法について正しく教えてくれる業者であるのかを見極めることです。
もちろん築年数が浅いうちは外壁塗装で塗膜保護を行えば住宅の美観性・耐久性は守られます。しかし大切なお住まいを長く快適に使い続けることが最も大切なことです。
雨漏りを起こしてしまった、外壁が塗り替えられないほどに劣化してしまったとき、皆さんには張替工事や外壁カバー工事を行わなければならないタイミングが来ます。そのいざというときに信頼できる業者を探せるかが重要です。
私たち街の外壁塗装やさんは塗装はもちろんですが、無駄な塗り替えは行わず時には外壁カバー工事等をご提案させていただくこともございます。
「ガルバリウム鋼板のお手入れや施工方法について知りたい」「塗装も気になっているがガルバリウム鋼板で外壁カバー工事を行った時の費用が気になる」どのようなことでも構いません。
点検・お見積りにお伺いした際に一つずつ皆さんの興味・疑問・不安についてお答えさせていただきます。ご相談・お住まいの点検は無料にて承っておりますので、小さなことでもお聞かせください。
窯業系サイディングでの施工が多い中、現在はさらに高耐久・高寿命なガルバリウム鋼板での外壁リフォームが増加しつつあります。
近年注目を浴び始めたかのように感じるガルバリウム鋼板ですが、1982年から販売され既に40年近く使用されている確かな信頼と実績があります。
ガルバリウム鋼板はトタンよりも遥かに錆びにくく軽量、高耐久な為ぜひお薦めしたい外壁材です。しかし沿岸部などガルバリウム鋼板が不向きな住宅もございますので一度無料点検やご相談を行った上、ガルバリウム鋼板でのリフォーム・メンテナンスをご検討ください。
ガルバリウム鋼板で外壁リフォームを行う場合張替工事も可能ですが、外壁カバー工事が非常に人気です。既存外壁材は撤去しないため比較的コストも低く、高い遮音性・断熱性を保持したままイメージチェンジ・外壁メンテナンスが可能です。
ガルバリウム鋼板での外壁リフォームは実績が少ない状態ですので、正しいリフォームを行えるか、適切な知識を提供してくれる業者なのかを見極めることが非常に重要です。
今後さらに人気が高まるであろうガルバリウム鋼板に対する正しい知識を持ち、後悔のない外壁メンテナンスを行っていきましょう。